精密さを求めるのは厳しい – 3Dプリンター How-to

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初めて買った3Dプリンターは思ったより精密ではないことに嘆きました。


カタログスペックは詐欺なのか?

Lutz PeterによるPixabayからの画像

XYZプリンティング」の3Dプリンター「ダヴィンチnano ホワイト」の場合、
ノズルヘッドの穴が直径0.4mm、レイヤーの最小厚みが0.1mmです。
初めて3Dプリンターを購入するときに、
カタログスペックを見て期待に胸を膨らませてしまいました。
最小の出力が、0.4×0.1mmなのだと。
それほど細かい造形ができるのだと。
それほど細かい3D設計ができるのだと。
でも違ったんですよ、悲しいことに。

まず、標準で同梱されているノズルヘッドの穴の直径「0.4mm」ですが、
確かに出てくるのはその太さなのでしょう。
しかし、それを押しつぶすように出力するので、太さ的には1.0mmを超えるのが事実です。
下手すると、2.0mmあるんじゃないかと思ってしまいます。

次に、レイヤーの厚みですが、設定では確かに「0.1mm」という設定はできますが、
その厚みでは高確率で誤動作します。
先にも書いた通り、押しつぶすように出力するので、
ノズルヘッドと対象物の間の隙間が薄いと横に広がりづらいので、
3Dプリンターは「材料が詰まった」と誤認してしまいエラーで止まってしまうのです。
現実的な最小の厚みは精々0.2mmといったところでしょう。
この「0.2mm」意外と目につくんですね、「積層痕」と言います。
0.2mmずつ積層痕ができると、肉眼でも横縞で縞々に見えるのですよ。
この表面の「縞々」、なんとか消そうとあと作業で頑張って研磨してみましたが、
なかなか消えません。
溶剤やパテを表面に一旦塗り固めてから研磨しないと駄目なんですね。
ちょっと、よほどのこだわりがないと無理です。
ネット上では、その「こだわり」で綺麗に仕上げた造形物も散見されますが、
容易に真似できるものではありません。

カタログスペックだけ見て、期待してしまうのはやめた方がいいでしょう。
ちなみに、業務用くらいの高価な3Dプリンターなら、もっと細かく出力できるようなので、
それらなら、肉眼では分からない程度には出来上がるのかもしれません。


購入前に試してみたいのだが・・・

Lutz PeterによるPixabayからの画像

購入前に試作を見させてもらえるところは、かなり少ないようです。
おそらく、低価格の3Dプリンターはどれも、
その出力物を見たら客の購買意欲が無くなってしまうからなのでしょう。
それとまだ、2Dのプリンターのように一般的ではないからというのもあるでしょうし、
経費ばかりかかって利益につながる見込みが無いからなんでしょうね。
残念ですが。

それでも、ネットで探せば、試作を見させてもらえるところは、いくつか見つかります。
でも、どれも私には遠いんですよね。
都心とかに行かなと無いようです。
経費が実際かかるわけですから、人口密度が高くないと、効率が悪いからでしょうね。
もしできることなら、
これから購入を考えている人は、購入前に試作を見させてもらった方がいいです。
価格と精度のバランスがどんなものか考えた方がいいです。
特に、「XYZプリンティング」の3Dプリンター「ダヴィンチnano ホワイト」のような、
廉価なモデルはなおさらです。
カタログスペックだけで期待してしまうと、間違いなくがっかりしてしまうことでしょう。


設計通りにならない

tookapicによるPixabayからの画像

3Dプリンターで出力する造形物は、予めその3Dデータが必要です。
タダで手に入るデータもありますが、3D CADソフトで自分で作ることもあります。
というか、慣れれば慣れるほど、自分で作りたくなりますね。
問題なのは、その設計されたデータ通りにならないのが現実です。

熱溶解積層法(FDM法)の材料は、
高熱で溶かしてノズルヘッドから押し出して造形するのですが、
熱を加えることにより、体積が僅かに増加します。
そして、出力中に先に出た部分は冷めて固まり、更に冷めますから、元の体積に戻るわけです。
この時、出力の真っ最中の部分との温度差によって、収縮した部分との「ズレ」が生じます。
そして、その「ズレ」が大きいと造形物は「反り」を生じてしまいます。
出来上がりが歪んでしまうのです。

「反り」が大きいと、具体的には0.2mm程度反ると、あとからの材料を押し出せなくなり、
「材料が詰まった」と誤認したエラーで止まってしまいます。
しかも、「XYZプリンティング」の3Dプリンター「ダヴィンチnano ホワイト」の場合、
一旦エラーで止まると、続きを出力できないので、
途中まで中半端に出力したものはゴミにしかなりません。

したがって、その「反り」と「収縮」を計算に入れて設計するか、
反らないようになんとか工夫しないといけません。
これが結構大変で、何度も試行錯誤を繰り返すので、結果としてゴミを乱発してしまいます。
一発で、思い通りの出力ができることは滅多にありません。
まあそれでも、小さいサイズの造形物なら反りにくいので、一発でできることもありますが。

その「反り」を誘引する収縮については、メーカーの「XYZプリンティング」も
許容範囲内であり、不良品とか故障ではないのでサポートしてくれません。
自分でなんとかしないといけないのが実状です。

それと、先にも書いた通り、材料を押しつぶすように出力するので、
データよりも横方向には僅かに膨張します。
その膨張は1.0mmより小さくても、精密さを求める場合は計算に入れないといけません。


丸を描くのが苦手

marcelaavraによるPixabayからの画像

どうやら、現在の時点で3Dプリンターは丸を描くのが苦手なようです。
XYZプリンティング」の3Dプリンター「ダヴィンチnano ホワイト」の場合だけでなく、
高価な業務用3Dプリンターでも同様のようです。
データでは「真円」でも、3DプリンターはX方向とY方向のノズルヘッドの移動に
誤差があるようで、僅かに潰れた「楕円」になってしまいます。
これも、精密さを求めるときには障害となります。
メーカー側もそれは許容範囲としているようで、不良品や故障とはみなしてくれません。
このことは、「DMM.make」の「3Dプリント造形サービス」でも同様に
僅かに「楕円」になってしまいました。
問い合わせたところ、「社内規定の範囲」と言われてしまい、
作り直しなどはしてくれませんでした。
DMM.make」では、高価な業務用3Dプリンターを使っているわけですから、
総じて、現在の時点で3Dプリンターは丸を描くのが苦手だということになります。

その「歪み」は僅かなため、直径が大きくなるほど肉眼では分からなくなります。
直径が小さいと、肉眼でも明らかに見分けができてしまいます。
どうしても精度を出したいのであれば、後加工が必要になります。
出力したあとに、削るか盛るかしないといけないのです。


大きすぎると欠けてしまう

XYZプリンティング」の3Dプリンター「ダヴィンチnano ホワイト」の場合、
最大は、120mm×120mm×120mmというカタログスペックですが、
実際にそれで出力すると、僅かに端が欠けてしまいます。
なので、115mm×115mm×115mmくらいが限界だと思って、設計した方がいいと思います。

どうしても、それ以上の大きさを出力したければ、分割したパーツとして出力して、
その後、組み立てるしかありません。
(あるいは、もっと高価な3Dプリンター使うか)


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