古いMacを使って自宅サーバーを構築/その4

前回の
古いMacを使って自宅サーバーを構築/その3 MediaWikiをインストール
の続きです。
なので、
「Ubuntu 16.04.x LTS 32-bit」で「LAMP」の環境が出来上がっている。
「MediaWiki」はインストール済みで使える状態。
「git」コマンドが使える状態。
という前提で話を進めます。

(<概要>(もくじ)はこちら)


  1. VisualEditorをインストール
    目的のもうひとつ「VisualEditor」を組み入れます。
    管理者権限のあるアカウントでUbuntuにログインしておいて下さい。
    操作の多くは「端末」アプリからコマンドで行います。
    「端末」アプリは、左上の「コンピューターを検索」ウインドウから見つけます。
    入力枠の中に「端末」或いは「ta」とタイプすれば、すぐに見つかる筈です。
    1. カレントディレクトリをホームに戻します。
      $ cd ~
    2. 「VisualEditor」をインストールします。
      1. 下記URLからダウンロードします。
        https://www.mediawiki.org/wiki/Special:ExtensionDistributor/VisualEditor
        真ん中のメニューから
        「1.31 (lastest stable MediaWiki)」を選択してから、
        (「master」を選択すると正常に動作しない)
        そのすぐ右側の「Continue」クリックすると
        数秒掛かって確認のダイアログが現れますので、
        「ファイルを保存」ボタンをクリックします。
      2. 「ダウンロード」フォルダ(Ubuntuのデフォルト)にダウンロードされた
        「VisualEditor-master-○○○○○○.tar.gz」という
        圧縮ファイルを展開します。
        (「○○○○○○」の部分はバージョンによって違うかもしれない)
        • 展開は、「ファイル」アプリでやる方が簡単でしょう。
          (「端末」アプリからのコマンドでもできる)
          その圧縮ファイルを
          右クリックして現れるコンテキストメニューから、
          「ここに展開する」を選択しクリックします。
      3. すると、「VisualEditor」というフォルダが得られますので、
        それを「ndwiki」の「extensions」フォルダ内に移動します。
        方法は二通りあります。下記のいずれかの方法を選んでください。
        • パーミッションの制限は無い筈ですから、
          「ファイル」アプリでドラッグ&ドロップできます。
          ウインドウを複数開くには、画面左側のLauncherにある
          「ファイル」アプリを右クリックすると現れる
          コンテキストメニューから
          「新しいウインドウを開く」を選択します。
        • 或いは、「端末」アプリから
          $ sudo mv /home/may/ダウンロード/VisualEditor /var/www/html/ndwiki/extensions/
          を実行します。
      4. 元々「VisualEditor」フォルダがあるので、
        マージするか問われますから、
        「マージする」ボタンをクリックしてください。
      5. /var/www/html/ndwiki/内にある
        「LocalSettings.php」に以下を追記します。
        wfLoadExtension( 'VisualEditor' );
        $wgDefaultUserOptions['visualeditor-enable'] = 1;
        $wgDefaultUserOptions['visualeditor-editor'] = "visualeditor";
        $wgHiddenPrefs[] = 'visualeditor-enable';
        $wgDefaultUserOptions['visualeditor-enable-experimental'] = 1;
        $wgVisualEditorAvailableNamespaces = [
            NS_MAIN => true,
            NS_USER => true,
            102 => true,
            "_merge_strategy" => "array_plus"
        ];
        $wgVirtualRestConfig['modules']['parsoid'] = array(
            'url' => 'http://localhost:8000',
            'domain' => 'localhost',
            'prefix' => 'localhost'
        );
        そうしたら、このファイルを保存してから閉じてくだい。
    3. 「Node.js」をインストールします。
      目的のもうひとつ「VisualEditor」は
      「Parsoid」に依存しているため「Parsoid」が無いと動きません。
      そして「Parsoid」を使うためには
      「Node.js」もインストールする必要があります。
      1. まず「Node.js」の
        バージョン管理ツールである「npm」をインストールします。
        下記のコマンドを実行して下さい。
        $ sudo apt-get install npm
      2. 次に「n」パッケージ を導入します。
        $ sudo npm cache clean
        $ sudo npm install n -g
      3. Node.jsのインストール可能なバージョンを調べます。
        $ n list
        すると、沢山のバージョンが表示されます。
        一番新しいものをインストールするのが普通なのですが、
        「Ubuntu 16.04.x LTS 32-bit」では、
        32-bit版のものを使わないといけません。
        その最終バージョンは、「v8.12.0」になります。
        (「端末」アプリのウインドウを少しスクロールさせて、上を見るとそのバージョンがあります)
        バージョンの文字列を加えて、以下のコマンドを実行します。
        $ sudo n 8.12.0
        $ sudo ln -sf /usr/local/bin/node /usr/bin/node
        コマンドプロンプトが戻ってきたら、
        「Node.js」のバージョンを確認してみましょう。
        $ node -v
        v8.12.0
        と表示されれば成功です。
        これで、「Node.js」のインストールが完了しました。
    4. 「Parsoid」をインストールします。
      「Parsoid」は、目的とする「VisualEditor」には、必須のものです。
      「Ubuntu 16.04.x LTS 32-bit」では、
      Parsoidのバージョン「0.9.0」は、正常に動作しない為、
      Parsoidのバージョン「0.8.1」を使います。
      1. 以下のページをブラウザで開きます。 「Parsoid version to 0.8.1」のページが開きます。
      2. 右側やや下にある[Clone or download▼]ボタンをクリックします。
        すると、バルーン(吹き出し)が現れますので、
        その中の下にある[Download ZIP]ボタンをクリックします。
        確認ダイアログが現れたら、「ファイルを保存する」で[OK]ボタンをクリックします。
      3. 「ダウンロード」フォルダに
        「parsoid-d45725e12195e24cc5465eca50828113836147a7.zip」
        というファイルがダウンロードされていますので、
        これを右クリックして現れるコンテキストメニューから、
        「ここに展開する」を選択しクリックします。
      4. 一応、バージョンを確認しましょう。
        展開された
        「parsoid-d45725e12195e24cc5465eca50828113836147a7」
        というフォルダの中にある、
        「package.json」というファイルをダブルクリックで開いてみて下さい。
        上から4行目に、
          "version": "0.8.1",
        と書いてあったら、そのParsoidのバージョンは「0.8.1」です。
        (手入力でここを書き直してもダメ、正しいバージョンをダウンロードして下さい)
      5. そうしたら、その
        「parsoid-d45725e12195e24cc5465eca50828113836147a7」
        というフォルダの名前を変更します。
        そのフォルダを右クリックして現れるコンテキストメニューから
        「名前の変更(M)…」を選択してクリックします。
        名前をただの「parsoid」に変更してください。
        (頭文字も含め全て小文字です)
      6. その「parsoid」フォルダ(ディレクトリ)を
        (どこでもよいのかもしれないが)
        「/var/www/html/ndwiki/extensions/」の下に移動します。
        (パーミッションの制限は無い筈なので、「ファイル」アプリで普通にドラッグ&ドロップできます)
      7. 次いで、「端末」アプリで以下のコマンドを実行します。
        $ cd /var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/
        $ npm install
        何行かの概要が表示され、コマンドプロンプトに戻ります。
    5. 「Parsoid」の設定をします。
      1. まず、「/var/www/html/ndwiki/extensions/」の中に移動した
        「parsoid」フォルダの中に
        「config.example.yaml」、
        「localsettings.example.js」がありますので、
        それぞれ名前を「config.yaml」、「localsettings.js」として複製します。
        (初期状態のバックアップを残しておく事をお勧めします)
        (複製の方法は幾つかありますが、「ファイル」アプリで、そのファイルを右クリックして現れるコンテキストメニューから「指定先にコピー…」を選択するのが簡単でしょう)
      2. 「config.yaml」の設定を行います。
        そのファイルをダブルクリックして開けば、
        テキストエディタが起動する筈です。
        「config.yaml」ファイルの中に
                #localsettings: ./localsettings.js
        という部分がありますので、
        「#」を消してコメントを解除してください。
        (このファイルの場合、行の先頭に「#」があると、その行はコードではなくコメントとして扱われる)
        次に、
                mwApis:
                - # This is the only required parameter,
                  # the URL of you MediaWiki API endpoint.
                  uri: 'http://localhost/w/api.php'
                  # The "domain" is used for communication with Visual Editor
                  # and RESTBase.  It defaults to the hostname portion of
                  # the `uri` property above, but you can manually set it
                  # to an arbitrary string. It must match the "domain" set
                  # in $wgVirtualRestConfig.
                  domain: 'localhost'  # optional
        という部分があります。その内の、
                  uri: 'http://localhost/w/api.php'
        ↓という行は、
        ↓「ndwiki」(MediaWiki)の「api.php」を指すアドレスに変更します。
                  uri: 'http://localhost/ndwiki/api.php'
        そして、
                  domain: 'localhost'  # optional
        という行の先頭に「#」を付けてコメントアウトしてください。
        変更ができたら、保存して閉じて下さい。
      3. 「localsettings.js」の設定を行います。
        そのファイルをダブルクリックして開けば、
        テキストエディタが起動する筈です。
        「localsettings.js」の中に元々ある
        exports.setup = function(parsoidConfig) {
        	// Do something dynamic with `parsoidConfig` like,
        	// parsoidConfig.setMwApi({
        	//	uri: 'http://localhost/w/api.php',
        	// });
        };
        という部分がありますので、
        そのすぐ上に行を追加([return]キー)して、「/*」と記述します。
        最後の「};」の下に行を追加して、「*/」と記述します。
        (このファイルの場合、「/*」から「*/」の間は全てコードではなくコメントとして扱われる)
        次に、その下に
        exports.setup = function(parsoidConfig) {
        parsoidConfig.setMwApi({
        uri: 'http://localhost/ndwiki/api.php',
        domain: 'yoursite.com',
        prefix: ''
        });
        };
        と書き加えて下さい。
        この内容の内、
        「uri: ‘」に続く記述は、
        「ndWiki」の「api.php」にアクセスするアドレスを記述します。
        domain、prefixの記入は任意です(不要なら行の先頭に「//」と記述すれば、その行はコメントアウトしますが、削除してしまっても構いません)
        変更ができたら、保存して閉じて下さい。
      4. /var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/の下に、
        新たに「parsoid.env」というファイルを作成します。
        以下のコマンドを実行すると、白紙のファイルが作成されて開きます。
        $ sudo gedit /var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/parsoid.env
        内容は、
        PORT=8000
        NODE_PATH=/var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/node_modules/
        と記述して下さい。
        (NODE_PATHは、「parsoid」の下の「node_modules」を指すパス)
        済んだら、保存して閉じて下さい。
      5. 「/etc/systemd/system/」という階層の下に、
        新たに「parsoid.service」というファイルを作成します。
        以下のコマンドを実行すると、白紙のファイルが作成されて開きます。
        $ sudo gedit /etc/systemd/system/parsoid.service
        内容は、
        [Unit]
        Description=Mediawiki Parsoid web service on node.js
        Documentation=http://www.mediawiki.org/wiki/Parsoid
        Wants=local-fs.target network.target
        After=local-fs.target network.target
        
        [Install]
        WantedBy=multi-user.target
        
        [Service]
        Type=simple
        User=www-data
        Group=www-data
        WorkingDirectory=/var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid
        EnvironmentFile=-/var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/parsoid.env
        ExecStart=/usr/bin/nodejs /var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/bin/server.js
        KillMode=process
        Restart=on-success
        PrivateTmp=true
        StandardOutput=syslog
        と記述して下さい。
        WorkingDirectoryには、「parsoid」を指すパス、
        EnvironmentFileには「parsoid.env」を指すパス、
        ExecStartには
        「nodejs」のパスとparsoidの「bin/server.js」があるパスにして、
        その間を半角スペースで区切ります。
        済んだら、保存して閉じて下さい。
    6. サービスを起動させます。
      $ sudo systemctl daemon-reload
      $ sudo systemctl start parsoid
      $ sudo systemctl status parsoid
      以下のようになっていれば成功です。
      ○○○○○@□□□□□:/var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid$ sudo systemctl status parsoid
       parsoid.service - Mediawiki Parsoid web service on node.js
         Loaded: loaded (/etc/systemd/system/parsoid.service; enabled; vendor preset: 
         Active: active (running) since 水 2018-10-17 14:56:16 JST; 2h 35min ago
           Docs: http://www.mediawiki.org/wiki/Parsoid
       Main PID: 14526 (nodejs)
         CGroup: /system.slice/parsoid.service
                 └─14526 /usr/bin/nodejs /var/www/html/ndwiki/extensions/parsoid/bin/s
      
      10月 17 14:56:16 may-VirtualBox systemd[1]: Started Mediawiki Parsoid web servic
      • 上記の表示が出たら「Q」キーを押すと、コマンドプロンプトに戻ります。
      • parsoid.service – Mediawiki Parsoid web service on node.js」
        という行の先頭の「」が緑色ではなく赤色だったらエラーです。
        その場合は、このページの先頭から間違いがないか
        よく確認し直して下さい。
    7. 自動起動の設定をします。
      以下のコマンドを実行します。
      $ sudo systemctl enable parsoid
    8. Parsoidを再起動します。
      $ sudo systemctl restart parsoid.service
    9. Parsoidが動いているか確認します。
      ブラウザで
      http://localhost:8000/
      を開いて下さい。
      下のように表示されていれば成功です。
    10. 「VisualEditor」を作動させてみます。
      1. http://localhost/ndwiki/
        を開いて下さい。
      2. URL欄は自動的に
        「http://localhost/ndwiki/index.php/メインページ」
        になって表示されます。
        MediaWiki(ニッチでドワーフなWiki)にログインします。
        ウインドウ内の右上の方に
        「ログイン」という文字(リンク)がありますので、そこをクリックします。
        登録済みの「利用者名」と「パスワード」を入力して、
        そのすぐ下にある「ログイン」ボタンをクリックします。
        • 「利用者名」と「パスワード」は、前回の
          「MediaWiki」の設定とインストールのところで、
          「名前」という画面で設定したものです。
        (或いは、新規に利用者登録してもよい)
      3. 「編集」タブが出現していますので、それをクリックします。
        そして、画面が下のように表示されれば成功です。

これで、「VisualEditor」まで完成して、使えるようになりました。

次回予告「その5 セキュリティを整える

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